第23回:日記「明日は我が身の運動会」
4歳児の保育園の運動会に行った。河川敷の広場で開催した。良い天気で嬉しい反面、自身の熱中症が心配になりポカリを2本装備して臨む。
子供の体操やお遊戯は可愛かった。「おぉ〜!」とオタクがアイドルにする声援をしたい気持ちを押し殺して0歳児をぎゅっと抱きしめながら見た。オタクの気持ちがやっと分かった。推しが頑張っている姿に声を出さずにはいられない。
保護者競技で障害物競走が始まる。任意参加だからボーッと眺めていたら、本部のテントから「先生方、保護者に声かけをして集めて来て下さい」と指令が下る。目を伏せて逃れた。と思ったら園長先生が自ら声をかけて回っていて「来るっ!次!来るっ!」と思っていたら捕まった。園長先生に声をかけられたら断れない。社会人として鍛えられてしまった自分を感じた。
障害物競走はランダムで出てくるコップや2本の棒などを使いボールをゴールまで運ぶシンプルな競技。どうしたら面白くなるか考えたが迷惑はかけたくない。きちんとルールの中でやろう。そうなると結局一生懸命頑張るのが1番面白い。という結論になった。となるとぐるぐるバットで足を地面に突き刺して高速でぐるぐる回るのが1番面白いだろうと狙っていたが出てきた物はコップだった。内心残念だったが、それでも「よっしゃ!」と言って全力でゴール。1位な上に本部から「お父さん早い(笑)」と元気な半笑いでアナウンスをいただく。妻の元に戻ると「ちょうど0歳児に構っていたタイミングで見逃した!!!悔しい!!本当に悔しい!!」と言っていた。そのリアクションの方が面白かった。なんでそんなに見たいんだよ。結局僕は参加賞のボックスティッシュ一箱の獲得で終わった。こんなにボックスティッシュを大事そうに抱えたのは産まれて初めてかもしれない。
妻と4歳児の親子競技。エビカニクスを踊って曲が止まったら玉入れを始める。という競技。踊りは加点にならないがさすがは妻、周りの大人が適当に踊る中で全力で踊る。曲が止まっても踊り続けそうな勢いで最高だった。
最後は1番上の学年による親子リレー。子供がトラックを半周走り、もう半周をバトンを貰った親が走る。親によるプライドと子供への見栄の戦い。カーブを全力で走る姿を見て「やめて!!!」と心で叫んだ。身体が持つか心配になる。セーブして走る親を見ると「それでいいんだよ」と妙に安心する。何でこんな戦いをさせるんだ!!とハラハラしながら見ていてついにアンカー。3チームともそれなりに差がついていたから順位は確定していると思いきや、全力で走っていた1位のお父さんがゴール前で足が急にピーンとなって転倒。最後に逆転されて終了。会場は大盛り上がりだったが再来年の僕を見ているようで震えた。最後に全力で走った数年前の記憶と今の身体の衰えのギャップが生んだ悪夢だと思う。人ごとでは無い。
それからその事ばかり考えていて、近所の保育園をしている奥さんに「運動会で保護者が転倒するのはあるあるなんですか?」と聞いたら「あるあるです!でもあれが1番盛り上がるんです!」とはしゃいでいた。走るなら全力で走りたい。大人が全力で走るのはやはり面白いだろうし。だから1年くらいかけて走り込みをしようと思う。
子供の成長を感じる運動会とは別に自分の身体を見つめ直す運動会になった。熱中症の心配はどこかへ行っていた。
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